最良執行方針
(当社グローバルマーケッツ部門とお取引の法人のお客さま向け)
2024年1月
みずほ証券株式会社
この最良執行方針は、金融商品取引法第40条の2第1項の規定に従い、お客さまにとって最良の取引の条件で執行するための方針および方法を定めたものです。
当社では、お客さまから国内の金融商品取引所市場に上場されている有価証券の注文を受託した際に、以下の方針に従い執行することに努めます。
- 対象となる有価証券
国内の金融商品取引所市場に上場されている株券、新株予約権付社債券、ETF(上場投資信託受益証券)、REIT(不動産投資信託の投資証券)等、金融商品取引法施行令第16条の6に規定される「上場株券等」。なお、金融商品取引法第67条の18第4号に規定される「取扱有価証券」はお取り扱いしておりません。
- 用語の定義
この最良執行方針における各用語の定義は次のとおりです。- 「PTS」とは、金融商品取引法施行令第26条の2の2第7項に規定される「私設取引システム」をいいます。
- 「ダークプール」とは、金融商品取引業等に関する内閣府令第70条の2第7項に規定される「社内取引システム」をいいます。当社のダークプールは価格や数量等の条件が合致した売りと買いの注文を、東京証券取引所の立会内における最良気配の範囲内でマッチングし、マッチングした注文を東京証券取引所の立会外取引として執行し成立させるものです。
- 「取引執行先」とは、金融商品取引所、PTSおよびダークプールを総称していいます。
- 「主要市場」とは、対象となる有価証券が複数の金融商品取引所市場に上場(重複上場)されている場合に、執行時点において、株式会社QUICKの情報端末において対象銘柄の証券コードを入力して検索した際に最初に株価情報が表示される金融商品取引所市場(当該市場は、同社所定の計算方法により一定期間において最も売買高が多いとして選定されたものです。)をいいます。
- 「SOR」とは、「Smart Order Routing」の略で、一般的に複数の取引執行先の気配情報等を比較し、執行価格が最良となることを期待して売買注文の回送先を制御する機能をいいます。本書面上では、当社の提供するSORをさします。
- 「レイテンシーアービトラージ」とは、複数の取引執行先に回送される注文の到達時間および処理時間(レイテンシー)などの時間差から生じる、取引執行先間の価格などの執行条件の差異を利用して利益を追求する投資戦略およびそれに基づく取引行為をさします。
- 「IOC」とは、「Immediate Or Cancel」の略で、注文が取引執行先の売買システムに到達した時点で即時に一部あるいは全量を約定させ、約定しなかった残数量は取り消す執行条件が付いた注文をさします。
- 「SOR対象銘柄」とは、東京証券取引所に上場されている上場株券等をいいますが、新株予約権付社債券、新株予約権証券および新投資口予約権証券ならびに外国株券等の金融商品取引法第2条第1項第17号の証券は除きます。
- 最良の取引の条件で執行するための方法
当社では、お客さまからのご指示に基づき、SOR対象銘柄についてSORを利用した執行が可能です。- (1)特段のご指示がない場合
お客さまの上場株券等に係る委託注文は、お客さまから執行方法に関するご指示(SORご利用のご指示を含みます。)がない限り、次の方法で執行いたします。- お客さまから委託注文を受託いたしましたら、速やかに国内の当該銘柄が上場している金融商品取引所市場へ取り次ぐことといたします。金融商品取引所市場の注文受付時間外に受注した委託注文につきましても、金融商品取引所市場における注文受付が再開された後に金融商品取引所市場へ取り次ぐことといたします。
- 上記の委託注文の金融商品取引所市場への取り次ぎは、次の通り行います。
- ①上場している金融商品取引所市場が1箇所である場合(単独上場)には、当該金融商品取引所市場へ取り次ぎます。
- ②複数の金融商品取引所市場に上場(重複上場)されている場合には、執行時点における主要市場へ取り次ぎます。なお、主要市場に関するお問い合わせは当社の本支店またはコールセンターまでご連絡ください。
- (2)SORご利用のご指示をいただいた場合
SOR対象銘柄につき、SORご利用のご指示をいただいた上場株券等に係る委託注文は次の通り執行いたします。- お客さまの委託注文は、お客さまにより指定された価格条件に従いながら、SORが対象とする取引執行先のうち、SORが選択した執行可能かつ最も有利な価格による執行結果が期待される取引執行先へ回送します。なお、SORは最も有利な価格での執行を目指すものですが、これを必ずしも保証するものではありません。
- SORによる注文の回送先となる取引執行先は、当社の運営するダークプール、ジャパンネクスト証券のPTS(J–Market)、CboeジャパンのPTS(Cboe Alpha)および東京証券取引所の立会内市場となります。また、お客さまより予め執行を行わない旨ご指定をいただいている取引執行先は回送先から除かれます。
- SORでは、回送先となる複数の取引執行先における最良気配価格を比較したうえで、最も有利な価格で約定成立が見込める取引執行先を自動的に選択し注文回送を行います。SORによる取引執行先の選択が行われるのは、東京証券取引所立会時間内となります 。また、特定の取引執行先にて取り扱いのないまたは売買不可能な状況の銘柄は、当該取引執行先をSORの回送先から除きます。単一の取引執行先の最良気配数量が執行しようとしている注文数量に満たない場合、執行可能性のある複数の取引執行先へ分割して注文回送を行います。
- 複数の取引執行先にて最良気配価格が同一の場合、当社ダークプール、ジャパンネクスト証券のPTS、CboeジャパンのPTS、東京証券取引所立会内市場の優先順位にて注文を回送しますが、今後環境に応じて優先順位が変更される可能性がございます。
- レイテンシーアービトラージへの対応方針および対応策
SORによる執行では、レイテンシーアービトラージの対象となることを極力防止するためにPTSと東京証券取引所立会内市場に注文を一斉に回送します。さらに東京証券取引所立会内市場を除く、すべての取引執行先に対してIOCにて発注します。
- (1)特段のご指示がない場合
- 当該方法を選択する理由
- (1)SORのご利用がない場合
金融商品取引所市場は多くの投資家の需要が集中しており、取引所外売買と比較すると、流動性、約定可能性、取引のスピード等の面で優れていると考えられ、ここで執行することがお客さまにとって最も合理的であると判断されるからです。
また、複数の金融商品取引所市場に上場されている場合には、その中で最も流動性の高い金融商品取引所市場において執行することが、お客さまにとって最も合理的であると判断されるからです。 - (2)SORをご利用の場合
- 複数の取引執行先の気配情報を比較し、最も有利な価格での約定成立が期待できる取引執行先を選択することが最良の取引の条件で執行するために最も合理的と考えるからです。
- SORの対象とする取引執行先は、最も有利な価格での執行のために、価格改善の可能性と流動性の観点から選択しています。
- 気配情報が外部に配信されずマーケットインパクトを抑えることができると考えることから、当社の運営するダークプールをSORの対象としております。
- 流動性が十分でないと判断することから、東京証券取引所と重複上場している銘柄の他の金融商品取引所についてはSORの対象としておりません 。
- 複数の取引執行先での最良気配価格が同一の場合、最も有利な価格での執行可能性を確保しながら、よりマーケットインパクトの低減が期待されると考え、当社ダークプールを優先し、その次にPTSとしております。PTS間では約定可能性を鑑みた優先順位としております。
- 東京証券取引所以外の金融商品取引所にのみ上場している銘柄については、流動性が限定的であることから、SORの対象としないことが合理的と考えます。
- 同様に、新株予約権付社債券、新株予約権証券および新投資口予約権証券ならびに外国株券等の金融商品取引法第2条第1項第17号の証券についても、流動性が限定的であり、またPTSにて取り扱いもないことから、SORの対象としないことが合理的と考えます。
- レイテンシーアービトラージへの対応について
レイテンシーアービトラージへの対応については、特に気配情報が開示されているPTSおよび東京証券取引所立会内市場に向けて分割された注文が異なるタイミングで到達すること、および東京証券取引所以外の一般的に流動性が限定的である取引執行先に注文到達後に未約定分が一定時間滞留することの双方を回避することにより、レイテンシーアービトラージの介入可能性を低減できると考えることから当該対応を行っております。
- (1)SORのご利用がない場合
- その他
- (1)次に掲げる取引については、3.に掲げる方法によらず、それぞれ以下の方法により執行いたします。
- ①お客さまから予めまたは受注の都度、執行方法に関するご指示(当社が自己で直接の相手方となる売買のご希望、執行する金融商品取引所市場のご希望、ダークプールやPTSなど特定の取引執行先のご希望、立会外での執行のご希望、お取引の時間帯のご希望、ご注文数量の一括執行の必要性等)または合意があった取引
当該ご指示いただいたまたは合意した執行方法 - ②投資一任契約等に基づく執行
当該契約等においてお客さまから委任された範囲内において当社が選定する方法 - ③取引約款等において執行方法を特定している取引
当該執行方法 - ④当社が取り扱う単元未満株の取引
単元未満株を取り扱っている金融商品取引業者に取り次ぐ方法または当社が直接の相手方となる売買による方法 - ⑤信用取引の注文については、東京証券取引所の業務規程によりダークプールにより執行することが認められないこと、当社はPTSでの信用取引の注文をお取り扱いしていないことから、SOR対象銘柄であってもSORは適用されず、当該銘柄が上場している金融商品取引所(重複上場の場合は主要市場)に取り次ぎます。
- ⑥海外の金融商品取引所と国内の金融商品取引所に重複上場している上場外国株券等で、海外の保管機関等に保管されているものの売却注文は、海外の金融商品取引所に取り次ぐ取り扱いとなります。
- ⑦東京証券取引所の寄付き前の注文受付時間に取引執行先に注文を送信する場合にはSOR対象銘柄であってもSORの対象とせずに東京証券取引所の立会内のみに送信します。立会時間開始後にはSORを利用した執行を行いますが、寄りまたは引け執行限定とする条件付き注文についてはSORは利用せず、すべて東京証券取引所に発注します。
- ①お客さまから予めまたは受注の都度、執行方法に関するご指示(当社が自己で直接の相手方となる売買のご希望、執行する金融商品取引所市場のご希望、ダークプールやPTSなど特定の取引執行先のご希望、立会外での執行のご希望、お取引の時間帯のご希望、ご注文数量の一括執行の必要性等)または合意があった取引
- (2)システム障害等により、やむを得ず、この最良執行方針に基づいて選択する方法とは異なる方法により執行する場合がございます。その場合でも、その時点で最良の条件で執行するよう努めます。また、SORの対象となる注文について、取引執行先または外部のシステムあるいは当社のシステム障害等により、SORが利用する気配情報の取得や取引執行先への注文回送が困難な状況となった場合には、SORの利用を停止または回送先を限定することがあります。
- (1)次に掲げる取引については、3.に掲げる方法によらず、それぞれ以下の方法により執行いたします。
この最良執行方針は2024年1月1日以降に受注する注文について適用されます。ただし、既存のお客さまのうち、2023年12月31日以前に執行方法に関する予めのご指示または合意があるお客さまにつきましては、2024年1月1日以降も当該執行方法を継続します。
最良執行義務は、価格のみならず、例えば、コスト、スピード、執行の確実性等さまざまな要素を総合的に勘案して執行する義務となります。したがって、価格のみに着目して事後的に最良でなかったとしても、それのみをもって最良執行義務の違反には必ずしもなりません。
以上