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座談会「発行体、投資家、評価機関が語るサステナブルファイナンスへの挑戦」

開催日:2023年10月13日
開催場所:みずほ証券(みずほ丸の内タワー)

キービジュアル

  • 株式会社IHI
    取締役 執行役員 財務部長 福本 保明 氏
    アシスタント・マネージャー 大籠 彩 氏
  • マニュライフ・インベストメント・マネジメント株式会社
    クレジット調査部長 押田 俊輔 氏
  • 株式会社日本格付研究所
    常務執行役員 サステナブル・ファイナンス評価本部長 梶原 敦子 氏
  • みずほ証券株式会社
    サステナビリティ推進部 SDGsプライマリーアナリスト 香月 康伸
  • 本座談会内における意見および考えは各個人の見解であり、各個人が所属している企業や団体の見解ではございません。

(敬称略)
香月:座談会を始める前に、2023年7月に押田さんとIHIさんの横浜工場を見学させて頂きました。まずは、その時の感想から押田さんにお聞きしたいと思います。

押田:IHIさんの横浜工場を見学した後、JERAさんの碧南火力発電所にもお伺いし、ボイラが稼働しているところを見てきました。私はトランジション・ファイナンス環境整備検討会の委員を務めているのですが、難しかったことの一つが、コロナの影響があり脱炭素に関連する技術についてこの目で見ることができないまま、議論に参加せざるを得なかったことです。最近になって、様々な企業を訪ねられるようになり、頭で理解していた各企業の課題や競争力をとてもよく体感・実感できるようになりました。また、IHIさんの横浜工場では、アンモニアの貯蔵タンクを縦に置くか横に置くかといった話もお聞きして、技術を商用化するためにはこのような一つ一つの試行錯誤がとても重要であることを改めて感じました。加えて、IHIさんから聞いた話を踏まえながら別の企業の話を聞き、また次の企業の話を聞きと繰り返していくことで、海外の有識者にも引けを取らない知識を身に着けることができたと、振り返ってみて強く感じます。こうした体験は非常に貴重なものですので、IHIさんのご負担のない範囲で投資家を巻き込んで頂けると有難く思います。

福本:碧南火力発電所を見学されたとのことですが、IHIの横浜工場とどちらが印象的でしたか。

押田:どちらが、というよりは両方見学することができて良かったと感じています。アンモニアに関して、IHIさんは“つくる・はこぶ・ためる・つかう”という全ての行程に取り組んでおられますが、やはり全部見ておかないと実現可能性を語ることはできません。また、石炭を燃やす場合、石炭は種類が多く燃焼の操業ノウハウが求められますが、アンモニアを燃やす場合、アンモニアは実質1種類しかないため、碧南火力発電所の見学を通じて、IHIさんのようなメーカーの存在感が大きくなっていくのではと感じました。

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(株式会社IHI 福本 保明 氏)

福本:先日、海外で投資家と面談する機会があったのですが、『グループ経営方針2023』で掲げているアンモニア等への成長投資に関する質問も幾つか頂きました。IHIは小型ガスタービンによるアンモニア専焼に成功しており、大型化することで最終的にはカーボンニュートラル(以下、CN)を目指しています。一方で、CO2排出を早期に軽減するための現実解として、高効率ボイラの導入やバイオマスへの燃料転換、アンモニア混焼といった取組も懸命に進めていますが、これらはIHIが目指すゴールではないということを、改めて投資家の皆さんにもお伝えしてきました。燃焼分野については、IHIは世界トップクラスの技術を保有していると自負していますので、こうした技術を早く社会実装できるよう努めて参りたいと思います。

押田:電力会社と会話をしていても、CNに向けた取組の代表例として碧南火力発電所が話題に上がることが非常に多く、こうした取組が広がっていくと良いなと思います。

香月:海外投資家と面談されたとのことですが、欧州はこれからだとして、アジア投資家からアンモニアに対する期待感の高さを感じることはありましたか。

福本:シンガポールはアンモニア・水素に積極的に取り組んでいるので、受け入れてくれるような雰囲気を感じました。ただ、やはり欧州では「アンモニアは石炭火力の延命ではないか」という主張も根強く、まだまだアンモニアの有用性を訴求していく余地があるように思います。

押田:福本さんの仰る通り、欧米でESGに先進的に取り組んでいる投資家の中には「アンモニアによるCNは技術的に実現不可能」と主張する方も一定数存在すると感じます。ただ、IHIさんが既にアンモニア専焼を成功させているように、CNの実現に向けた歩みは着実に進んでいます。そもそもアンモニアに関する取組をきちんと認識していない海外投資家も多いので、私自身こうした取組が進んでいることを投資家として発信していくつもりですが、IHIさんも事業会社として世の中に対して積極的にアピールして頂ければと思います。

香月:梶原さんも様々な場面で海外の方と会話をされていますが、日本のトランジションが話題になることはありましたか。

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(株式会社日本格付研究所 梶原 敦子 氏)

梶原:率直に申し上げて、欧州投資家は想像以上に日本のトランジションに関心がないのでは、と感じる場面がありました。この事実に関して良い悪いといった話ではなく、欧州投資家には彼らなりの理想や考えが確りとあるため、我々が思うより他の地域の動向を深く調べた上でコメントしているように思えないということです。一方で、日本の企業は過度に周囲の意見を気にしてしまうあまり、自分自身の首を絞めているようにも思いました。欧州投資家にとって「日本含めアジアは石炭火力が問題」という認識はあるものの、それ以上の日本が有している脱炭素技術についての知識はあまりないというのが実情です。また、欧州では「トランジション・ファイナンス(以下、TF)はセカンドラベルである」や「日本のトランジションは化石燃料が中々減らないのが問題だ」といった批判も確かに見られますが、そもそも欧州におけるトランジションはグリーンのサブカテゴリーであり、トランジションアセットという捉え方は正しくありません。トランジションとは本来CNに向けた絵姿とそれを裏付ける技術を指しており、TFはその流れに沿って適切に実行されるべきものです。IHIさんを例とすると、アンモニア20%混焼のためではなくアンモニア専焼に向けて実行されるのがTF、ということになります。尚、こうした話を欧州投資家にしたところ、「それはグリーンではないか?」という反応が返ってきましたが、前述の通りトランジションはあくまでグリーンのサブカテゴリーと考えるのが正しく、海外に向けてTFをアピールされる際は「グリーンの一形態である」と堂々と主張して良いのではと考えます。

福本:アンモニアの“つくる”に関しても同じことが言えると思います。最初はブルーアンモニアからスタートするように思いますが、最終的にはグリーンアンモニアを目指す必要がありますし、そこに向けてIHIのアンモニアに関する知見を活かしながらビジネスを仕込んでいきたいと考えています。

梶原:グリーンアンモニアに関しては、そもそもの経済合理性や再生エネルギーをわざわざアンモニア・水素にすることの意義、“はこぶ”フェーズでのCO2排出など、指摘が色々とありますが、それらを一つ一つ技術的に覆していくことが重要だと思います。アンモニア燃料船も準備段階に入っていると聞いていますが、一つの技術だけでは語れないのがアンモニア・水素ですので、引き続き色々なパターンを考えていく必要があります。

福本:梶原さんの仰る通りでして、例えば再生エネルギーだけで電力を賄えない地域ではエネルギーを運んでくる必要があります。パイプラインが整備されている欧州などは水素が融通しやすいですが、海上輸送が必要な場合は、沸点がマイナス253℃の水素は液化するために多くのエネルギーが必要になってしまいます。一方、アンモニアは沸点がマイナス33℃と高く、簡単に液化・長期保存ができる他、体積当たりのエネルギー量も大きく、多くのエネルギーを効率よく運ぶことができます。また、肥料や化学品原料用途などで既に流通しているため、既存のインフラで運ぶことが可能です。決してアンモニアと水素は対立しているわけではなく、地域の特性に応じて様々なパターンを実現していくことができればと考えています。

梶原:コストの話になりますが、IEAレポート「Electricity Market Report 2023」では再生エネルギーの割合がかなり増えており、一方でアンモニア・水素については2021年から2023年にかけてコスト的な課題があまり解決されなかったため割合を減らしたとの記載がありました。LNGやEVに関しても同じことが言えますが、当初のコストが高いのは当たり前のことなので、需要サイドを喚起していくことで解決を図る必要があります。そのためにも、IHIさんの技術で東南アジアを中心にアンモニア専焼化を進めて頂き、スケールメリットを見出して頂くことが重要かと思います。

香月:話を少し変えて押田さんに質問です。投資家はトランジションボンド(以下、TB)をどのように見ているのでしょうか。

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(マニュライフ・インベストメント・マネジメント
株式会社 押田 俊輔 氏)

押田:本件については、国内と海外で分けて話をさせて下さい。日本はGX投資として今後10年間で130兆円の民間投資を計画していますが、国内の社債市場は80兆円であり、仮に130兆円の2割にあたる26兆円を社債で賄うとした場合、社債市場に対して相当なインパクトがあると考えられます。また、相対で行われるローンとの比較では、TBの方がトランスペアレンシーが高く企業にとってもアピールの機会が増えると考えると、非常に良い循環が生まれると思いますので、投資家としてもTBには高い期待を抱いています。一方で、海外投資家の反応はというと、梶原さんも先程仰っていましたが“TBのことをあまりよく知らない”ということになるかと思います。これに関して企業のESG取組について複数の欧州企業等ともミーティングを行っている立場から一点補足させて頂きます。欧州の企業はESG経営が進んでいる印象がありますが、実際にエンゲージメントしてみると日本の企業の方が圧倒的に確りとした解を持ち合わせている印象を多々受けます。私がTFに初めて触れたのは3、4年前の欧州の海運会社でしたし、確かに欧州でもHard-to-abate産業に従事する人たちは色々と考えているかと思いますが、それ以外の産業や金融関係に従事している人たちはあまり興味がないというのが実態ではないかと感じることがあります。

香月:マーケット規模の面で少しお話すると、日本のラベルファイナンスは世界で第5位となっており、1位の米国との差は年々縮小しています。また、日本は昨年比60%増で成長しており、加えてGX移行債も発行されることを踏まえると、来年にはさらに上位を狙えるほどマーケットでの存在感が増してきています。さて、次は押田さんからIHIさんに質問があるとのことです。

押田:グリーニアムがあまり出ない中で整理するのは中々難しいかもしれませんが、IHIさんはサステナブルファイナンス(以下、SF)をどのように位置付けているのでしょうか。

福本:正直な感想を申し上げると、経済的メリットについては、社債発行においては現状そこまで感じておりません。但し、事業に対する本気度を社内外に示すという意味で、SFはとても重要であると認識しています。IHIではSFを気候変動や労働人口等の社会課題の解決に向けた共通の価値観を持つパートナーとの関係構築をファイナンス面で進めていく施策と位置付けております。共通の価値観を共有するためのコミュニケーションツールとしてフレームワークを作成し、IHIの経営戦略を選好する投資家との関係を構築するための経営基盤づくりに活用しています。例えば、IHIは航空エンジン事業を成長事業と位置付けていますが、現状CO2を大量に排出しています。このままでは中長期的な成長は難しいため、材料の軽量化・電動化・SAFといった解決策の実現を目指しているわけですが、このための資金をSFで調達することで、会社の戦略と資金調達が同じ方向性であることをフレームワーク等を通して示していきたいと考えています。

押田:グリーニアムが出ないことについては、低金利環境も踏まえるとやむを得ない部分もあります。但し、インフレ率が上がってきて金利が乗るようになれば、グリーニアムが出てくるのではと考えております。

福本:IHIとしても、航空エンジン事業やクリーンエネルギー事業への投資に対して投資家の方々がどのような評価をしているかが重要であり、その結果としてグリーニアムが出てくることを期待しています。

香月:マーケットのプライシングはリスクを乗せていくという発想に基づいているので、グリーニアムのような引き算の考え方はマーケットのメカニズムに反しています。そのため、今後考慮すべきなのはグリーニアムではなくブラウンディスカウントなのではないでしょうか。この考え方に則ると、SFは福本さんが仰ったような会社の戦略を示す“攻めのファイナンス”であると同時に、追加のリスクを抑制する“守りのファイナンス”なのではと考えます。

梶原:少し話が逸れますが、カーボンプライシングでも同じことが言えると思います。特にIHIさんは、顧客のカーボンプライシングに対する感度が高まると脱炭素製品の売上が伸びると思いますので、そうした好循環が期待できるのではないでしょうか。

福本:脱炭素製品という観点で、まず自社の工場でアンモニア発電を導入しそのノウハウをもって顧客に製品を売り込むといった循環を作ることができればと思うのですが、実態は太陽光発電などでCO2排出量を減らす方向に進んでおり、中々思うように行かないといった悩みも抱えています。

梶原:IHIさんの本質的な技術は“燃やす”ことだと考えていたのですが、航空分野になると電動化や軽量化が強みになるのでしょうか。

福本:航空機の脱炭素化に向けた解決策として次に出てくるのは材料の軽量化になるので、IHIとしても積極的に取り組んでいます。その先は技術的に成功しているSAFが現実解となりますが、増産に向けてはもう一段階の技術開発が必要となります。また、梶原さんの仰る通り燃焼もIHIの強みであり、アンモニアに関しては有毒なものを出さずに燃えづらいアンモニアを燃やす研究を10年以上続けて、ようやく日の目を浴び始めました。

梶原:アンモニアに関する海外のレポートを読むと、有毒性が前面に押し出されているようにも感じるのですが、IHIさんの技術が世の中にあまり知られていないということなのかもしれませんね。

押田:脱炭素に向けたイノベーション分野について私なりに必要性の高いものを考えると、火力発電の脱炭素化技術(水素・アンモニア)、メタネーション、蓄電、カーボンキャプチャー、原子力、水素還元製鉄、SAF等かなと思います。こうして整理してみると、IHIさんは全ての分野に関与されており、IHIさんの技術だけで日本のCO2排出量の20%(JERAの排出量とガス業界の排出量)を削減できるポテンシャルがあるのだと改めて感じました。また、MSCIのCarbon Deltaという気候変動が将来的に企業価値にどのような影響を与えるかを分析するツールによるとIHIさんは技術的オポチュニティが高いと評価されており、私の見方も間違いではないのかなと思います。

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(株式会社IHI 大籠 彩 氏)

大籠:Scope3の開示に関して、製品が多岐にわたる弊社のような業態においては、どういった粒度で開示するのがわかりやすいでしょうか。

梶原:IHIさんのScope3について語ろうとすると、製品の幅広さからカテゴリー①やカテゴリー⑪といった枠組みで説明するのは難しく、製品・機器毎のCO2削減インパクトを開示頂くことが投資家にとっても分かりやすいように感じます。CO2排出量が多い分野のみや原単位での開示も考えられるかと思います。

押田:Scope3の総量と梶原さんにご提案頂いたような実態を反映した数値の両方を開示頂くのが良いかと思います。Scope3の開示にあたり、企業にとって様々な問題があることは投資家も認識しています。ただ、企業の方から開示して頂かないと、投資家としてもESG情報ベンダーが提供する投資家にとっては出所やメソドロジーが分かりにくい数値を企業分析やポートフォリオ分析に使用することになるため、企業の評価に悪影響を及ぼしてしまう可能性があります。少し話が逸れますが、投資家サイドの実情として人的資本の話もさせて下さい。評価にあたって連結/単体のどちらの数値を参照すべきかという議論がありますが、最終的にはPRIへのレポーティングに際して連結の数字が必要となります。連結の数値が必ずしも企業の実態を表しているわけではないということは投資家も理解しているのですが、企業だけでなく投資家もレギュレーション対応が必要になる一つの例として参考として下さい。

香月:押田さんの仰ることは非常に興味深く、企業の開示にあたっては正確性だけでなく投資家の使いやすさもヒントになるということでしょうか。

押田:正確性について触れると、日本の企業であれば少なくとも開示されている数値の方が、ESG情報ベンダーが出している数値に比べて正確だと思っていますし、殆どの投資家が同様の考えを持っている筈です。

梶原:Transition Pathway Initiative等が出している数値もセクター毎の原単位を利用していることが多いのですが、重工系はセクターが多岐に亘るため、ロードマップをいくつも参照しながらトランジション評価を実施しました。

押田:投資家の中でも私のような運用フロントは企業の実態を知りたいので、セグメント毎の数値を使って同業他社と比較しますが、PRIへのレポーティングを担うESGチームは連結の数値を参照することが多いと感じています。

香月:IHIさんから事前に質問を頂いておりまして、投資家の方々はTBを購入する際にどのような点に着目していますか、という内容になりますが、押田さん如何でしょうか。

押田:他の投資家がどのように評価しているかが見えないため一概にお伝えすることはできないのですが、まずはフレームワークやセカンド・パーティー・オピニオンを拝見し、その後サステナビリティ戦略やTCFD、最後にトランジション戦略を見るようにしています。また、マニュライフ・インベストメント・マネジメントとして幾つかのチェック項目を設けており、トランジションとしての投資基準を充たしているかを各アナリストが確認した上で、最終的な投資判断はポートフォリオマネジャーが価格を見て実施しています。傍から見るとかなり細かく見ていると思われるかもしれませんが、トランジションはグリーンウォッシュと言われることがあるため、きちんとしたプロセスに則って評価する必要があると考えています。

香月:昨今、押田さんのように積極的に企業にアプローチする投資家も増えてきていますが、IHIさんにおかれましてエンゲージメントで苦労されている点などはありますか。

大籠:エンゲージメントのベースになるのが開示文書であると考えていますが、野心性のある目標の開示の仕方については課題と認識しています。

梶原:少なくとも目標はまず開示することが重要で、そこから市場と対話をしながら野心的な目標を模索していくということもあろうかと思います。

押田:公表して頂かないと投資家として問題提起することもできませんし、逆にIHIさんとして気になる点があれば、注釈を付けて公表頂くのが良いかと思います。また、開示文書に関連してIHIさんの昨年度の統合報告書を拝見しましたが、技術について座談会形式で大変分かりやすく記載されており、私が読んだ統合報告書の中でもトップクラスの内容だと感じました。

香月:立てた計画は必ず達成しなければならないという考えの日本企業は多いですが、欧米の企業は必ずしもそうは考えず、状況に応じて計画を修正するケースも多いです。IHIさんにお聞きしたいのですが、投資家様との対話を踏まえてサステナビリティ経営に取り入れた施策などはありますか。

大籠:2023年5月にインパクトレポーティングの初回開示を行いましたが、押田さんにもコメントを頂きまして、投資家の方々がどのような形で活用されるのかという視点が欠けていたと感じました。また、最近では、弊社のトランジションに向けた取組への理解を深めて頂くことを目的として、財務部主導による工場見学も積極的に行っています。今後も投資家の方々とのコミュニケーションツールの一つとして注力していきたいと考えています。

香月:有難うございます。最後に福本さんから一言コメントを頂ければと思います。

福本:幸いなことに、IHIの事業の中心が気候変動対策という社会課題の中心になってきており、IHIの戦略を非常に語りやすい世の中になったと感じています。IHIの中長期的な成長は社会課題を解決した先にあるということを今後も強く押し出していくとともに、2030年・2050年に向けてIHIは進んで参りますので、長い目で興味を持って頂けると大変有難く思います。

以上

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